アルバム批評 あぶらだこ(木盤)

●全体的な評価

とっても秀逸。この一言に限るです。まず、このアルバムはあぶらだこのアルバムの中でも相当有名な方。僕は後期の方がヤバくて好きですが、初期でもかなり好きなアルバム。(三つとも僅差ですごく悩む。)


●楽曲ごとの評価

1.FARSE

どんがらがっしゃといきなり祭囃子のような音。どことなく青盤の四部屋を髣髴とさせるナ。そしてとっても端切れの良いチャラチャラしたギターが絡んでとってもポップ!と思いきや悪阻のような歪み過ぎた音にすぐさま変貌。なんかおもろ、と思っていると激し目のところで「わーかおす」と聞く人の脳味噌のネジを5、6本飛ばします。そして「お゛ーぐーの゛がみ゛ーがーー」とヒロトモのダミ声が響き渡る。気がついたら、ありゃ、イントロより遅くなってる気がするし(実際はテンポは全く変わっていないのだが)拍子も4/4から6/8に早変わり。こりゃやられたぞとやられる度に頭をぺちぺちしていたら脳震盪を起こしちまいそになる、そんな曲。だが、至って聞きやすく、なんだかキャッチーで面白いフインキ。楽しい。


2.S60

タイトル、なにこれー。となるが、曲開始から僅かな時間でその正体がわかる。激低voiceで「ろくじゅーねんだい」と呟いているではないか。なるほど、これは60年代というわけなのである。

遅めのところでどっぷりしていた分、あとで早くなったときの畳み掛け方が楽しい。僕は未だに早いところの歌詞は「がるみさがるみそがるみしみそおいあきゃわらきゃるみそあるうぃっさい あきゃおいあきゃおいあきゃおいあきゃおいあきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃげるむっしく」だと思っています。


3.ROW HIDE

ノリが良くてライブで聞いてみたいなぁ、みんなで「ろーはいどろーはいどろーはいどろー」と言ってみたいなぁと思う曲。ボーカルの鳥の断末魔のような声を耐えられる人なら比較的最後まで聴けるけど、あの「シカトするタトゥイタトゥイタトゥイタトゥイタトゥイタトゥイタトゥイ」の応酬で「あ、ぶぶばぱぶーーーーー」となってしまうこと間違いなしの曲。

終わりもたのしい。最初っから最後まで、いいかんじ。


4.象の背

なんていい曲なんだ。あ、ちがうわ、なんでいい曲なんだ。こんな歌詞書けるのかよ、ってなるしこんな優しげな演奏、メロディなのに、ヒロトモが歌うとなんかパンクだぜ、となる。これを某ナオトインティライミとか某小田和正が歌ったらきっと日本武道館が泣くぜ。

ナオトインティライミ「僕らの未来は全然暗くないと信じてみる」

大衆「うぇーーーん、そうだよねぇ、ぼくたちは希望を持って生きていこう、うぇーーーん」

というのが浮かぶな。


5.生きた午後

さっきプレゼントした感動を返せ!という強欲バンドあぶらだこ。個人的にはこのアルバム内でもカオス度は第3位と言ったかんじ。第1位はもちろん、あの化け物曲。アレに勝てるわけがない。詳しくは後述。

速度変化はあるけどなんかよくわかんないパラレルワールドに連れてかれる感じなので許容範囲。聞きやすいとは言わないが、変拍子や速度変化が多くなくてもインパクトを与えてくれるんだなぁ、と怪物・あぶらだこをイヤハヤ尊敬したくなる。


6.ダーウィンの卵

生物の栄え衰退していく様が描かれたような素敵な曲。とてもパンクで初期を思わせるような曲調だがなんだか爽やかさすら思わせる。特に「早く早く歩いてここまで来て」と急かされるところはノリノリで歩ける自信がある。「いや急ぐのに歩くのかよ」とツッコミたくなるけども、そんなのは「どうして日本人は新型コロナウイルスをCOVID-19という正式名称で呼んであげないの?」と聞くくらいどうでもいいこと。とにかく名曲。僕はあぶらだこでこの曲が1番好きだぜ!


7.ティラノの非苦知

またしても、さっきの爽やかさを万引きしやがる強欲バンドあぶらだこ

こんなに恐怖を煽るサウンドやリフレインの中でただ怪鳥の鳴き声が木霊する。めちゃ怖くね。これ。サビ(?)ではギャンギャンとひたすら恐ろしい声が聞こえてくる。なんだか、漏らしそうです。あ、そういうの漏らさないから。僕が漏らすのは弱音です。弱音を吐いてもいいんだよ。生きていれば、いずれどんな問題も解決するんだよ。僕らの未来は全然暗くないと信じてみよう。

アルバム内のカオス度は第2位です。一位はやっぱり、…


8.BUY ←おまわりさんコイツです。

「ばいばいばいばいばいばいばーーーい!!!」と騒ぐヒロトモと合いの手くん。こんなヤバいのある?この曲がカオス度堂々の第一位です。こんな変なのが、後期のアルバムにはゴロゴロゴロゴロ転がっている。どんどん変になる。変すぎる。あばあば、あばば。さあみんな歌おう。ばいばいばいばいばいばいばーーーい!!!ばいばいばいばいばいばいばーーーい!!!と、気が狂っちまいそうである。


9.PARANOIA

感動の名曲再びあらわる。強欲バンドにしては親切にも、劇薬の後にその中和薬をくれたかんじ。歌詞は置いといて(歌詞を読んではいけない感動が薄れる)

メロディーが明快でキャッチーだけど、なんか怪鳥が眠いときの囀りみたいな歌い方で、「美しいけど不気味」というある意味ヤバい世界さんを構築している。バンドでカバーするなら、この曲が1番やりやすいとおもいます、ね、そうでしょ?おまわりさん。

おまわりさん「そうです」

ジブ冬「BUYは逮捕しましたか」

おまわりさん「その件に関しましては…う、発作だ……。……ば」

ジブ冬「まさか」

おまわりさん「ばいばいばいばいばいばいばーーーい!!!」

ジブ冬「ありゃー」


10.翌日

来ました、みんな大好き翌日。フジロックでのライブ映像を見たことがありますが、これを聞いてノリノリになってた観客はきっと「イっちゃってる」のである。だって、ヒロトモが「ぁ゛あ゛あ゛ーーーぁ゛あ゛あ゛ーーーぁ゛あ゛あ゛ーーーぁ゛あ゛あ゛ーーー!!!」とか言ってんだもん。

最初は可愛くて野太いベースが聞こえる。なんだ、何が始まるんだ、と訝しむとドラムが優しい音を鳴らす。よくよくベースを聞くと、なんだ、優しげでキャッチーな「らしくない」メロディーやね、となる。ところがである。

ギターが入った途端、なんか早くなってる気がする。

早くなっている。なんか最初ほど遅くない。早い。なんかドラムも手数が増えてる。気づいたら当初思い描いていた方向とは真逆の道を辿り始める。ぎゃんぎゃんぎゅんぎゅんぎょんぎょーーーーん、とロッケンロールを始める。あああ、感動的なラストにするんじゃ、ないの?

そこで、怪鳥が目を覚ます。あぁあ、ララバイがうるさすぎたのだ。

怪鳥は眠れないので泣き始める。「ぁ゛あ゛あ゛ーーーぁ゛あ゛あ゛ーーーぁ゛あ゛あ゛ーーーぁ゛あ゛あ゛ーーー!!!」といった具合にである。もうカオスでカオスでやばー。

そしてその震えたような泣きそうなようなでもどこかおちょくられているような声で「青い太陽はどこにでもいるし 宇宙のように生きたいと思うし」と名フレーズを言う。

このままフェードアウト。やべー。でも、不思議と涙腺が緩む。なんだか、こんなことになると思わなかった。7分超えの超大作の行方はあぶらだこ


総評 面白いとおもいましたすきです